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空白が継続する地帯 [震災の風景その2]

 東日本大震災は11日、発生から5カ月を迎える。警察庁の10日現在のまとめでは、死者は1万5689人に上り、今なお4744人が行方不明。被災者の避難先は全都道府県に広がり、8万7063人(7月28日現在)が避難生活を強いられている。
 岩手、宮城、福島3県の死者1万5623人のうち8%は身元が分からないままだ。
 内閣府によると、避難者のうち1万2905人が公民館や学校などの避難所で暮らし、旅館・ホテルに1万9918人、親族・知人宅などに1万8874人が身を寄せる。公営住宅や仮設住宅などには3万5366人が入居している。
 仮設住宅は、9日までに岩手県1万3833戸、宮城県1万9123戸、福島県1万2810戸が完成。岩手県は必要数がほぼ建設され、宮城、福島両県はともに9月中旬の全戸完成を見込む。
 一方、環境省が推計した3県のがれきは計2263万トンで、仮置き場に運ばれたのは1071万トンにとどまっている。(以上毎日新聞)

瓦礫処理は半分ほどにとどまっている計算だが、津波で壊滅状態に追い込まれた多くの被災地は、瓦礫の撤去などにより、これからの復興のためのまっさらな土地になっている。それらの被災地は、いずれ様々な色が塗られ、市街地として姿を整え、また農地などに回帰していく。今は空白の地帯であるが、空白は復興していく過渡期の風景である。

やるせないことだが、震災発生から5ヶ月経った今も、第二の被災が続いている。福島県から、子供たちの県外への転校がとまらないという。フクシマを中心に日常の生活や生産活動が認められない、或いは規制される、地震・津波による被災地とは異なる、国土の中の空白地帯とも言える土地が広がっていく。
福島第一原発の周囲で居住制限されている地域(避難区域、計画的避難区域、緊急時避難準備区域)は、同時に平成23年産の稲の作付けを控えるよう要請された地域である。また、徐々に広がっていく原子力災害対策特別措置法に基づく食品に関する出荷制限等(青物など出荷規制がなされている地域、肉牛の出荷制限県、水産物の規制など)、その分布は放射能汚染の影響により、地図上に描かれていく日本の中での生産活動の空白地帯である。汚染が規制値を越えたと判明した瞬間に、空白地帯が広がるから、汚染が判明していく時間に比例して拡大してきたのだ。避難準備区域に戻っても良いという決断がなされても、その区域では農業や畜産の継続は断念させられている。汚染された土壌ばかりでなく、作物、雑草を処分することができず、そのまま放置せざるを得ない状況が、放映される。
複合する人災である、第二の被災は一過性のものではなく、収束する時が見えない。

文部科学省による放射線量等分布マップ(線量測定マップ)が8月2日に公表された。汚染は福島第一原発から北西方向(19μSv超の周囲に3.8~19μSvの帯)に広がり、福島市から中通を南下(1~3.8μSv)する。その分布は、早川由紀夫さんが描いた汚染マップを見慣れた者にとって、違和感のないものだった。マップで描かれた汚染の濃いところが、空白地帯になっていく。
一生の内外全被曝の許容値100mSvは、乳児にとって年間1mSvである。核被害は、広島、長崎に続き、福島に刻印されることになった。安全神話が崩れ、これだけの被害を出したのに、脱原発への道が描かれない。そして東電は国民の税をもって救済されることになった。

今までのところ、空白地域は増大の一途をたどっている。その範囲の大きさに驚かされたのはお茶の汚染であり、遠く足柄茶の汚染は衝撃を与え、静岡県まで影響範囲の対象になった。
最近の話題は肉牛の汚染であり、汚染された肉の消費地は全国に広がっていた。汚染された肉牛が1頭見つかるたびに産地の県は出荷制限されることになる。たまたま検査した1頭が汚染されていなくとも、他の牛が汚染されていないということを誰も信用しない状態になっている。このような風評被害を誘発するような現状では、全頭検査の方が実質を反映するだろうと考えるが、敢えて右へ倣いの方をとっているように見える。もちろん危険なのは牛だけではない。次の最大の心配の対象は、稲である。

これからの原子力工学は、従来のような新たな原子力利用の可能性ではなく、現在の原発事故の収束のために研究されることになろう。少なくとも、その取り組みは、東日本大震災の被災地の復興よりも比較にならないほど長い時間がかかることになる。
東日本大震災の第二の被災地である空白地帯は、これからどのように姿を変えていくのだろうか。このままの姿で捨て置かれないための研究も、同時に進められて欲しい。

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